持続可能な島づくり/沖縄県宮古島市の自立エネ政策/地域経済活性化に不可欠
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2024.08.19
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目次
沖縄県宮古島市は、「エコアイランド宮古島」の取り組みを通じて持続可能な島づくりを目指している。その背景には、島の自立を促進するためのエネルギー政策があり、地域エネルギーの地産地消と持続可能な利用を重視しているため。宮古島市のエネルギー政策の考え方と具体的な取り組みを紹介する。
宮古島市は、地域のエネルギー自給率を向上させ経済的、環境的に持続可能な社会を構築することを目的としている。東京から約2000キロ、沖縄本島から約300キロ南西で、台湾との中間に位置する。総面積は204平方キロで、そのうち8割が宮古島が占める。人口は約5万人。
綺麗な海や独自の風土・文化が魅力的な観光地として人気なエリアだが、四方を海に囲まれた隆起珊瑚礁からなる平たんな島で、大きな河川などは無く、台風や干ばつを受けやすい厳しい自然環境にある。年間の平均気温は23・3度、年間降水量の平均は2000ミリ、湿度は年間平均79%という環境だ。
宮古島市は干ばつなどによる影響から豊富な地下水活用で“水無し農業”を脱却し、透水性の高い琉球石灰岩の地下に貯水ダムを建設し、水源開発を実施した経緯がある。同事業の期間は1987~2000年度で、総事業費は640億円だった。
その豊かな自然環境を維持しながら、経済の発展を目指すために大きな課題となっていたのがエネルギー政策だ。政策の背景として挙げられるのは、宮古島市が外部エネルギー依存から脱却し、自立したエネルギーシステムを確立する必要性があることだ。
外部からのエネルギー供給が不安定になるリスクを低減すると同時に、地域経済を活性化し雇用創出が求められ、政府や地方自治体も気候変動問題への対応を強化し、再生可能エネルギーの利用を促進する政策を推進している。
具体的なエネルギー自給の取り組みでは、省エネルギー対策と再生可能エネルギーの導入拡大を大きな柱とした。再生可能エネルギー事業には地域事業者が積極的に関与し、市民の省エネアクションの促進も重要だ。特に、急速にコストダウンが進んでいる太陽光発電の導入を大幅に拡大し、電力需給バランスを調整するために風力発電やバイオマス発電の導入も検討している。
エネルギー政策の基本的な考え方について、宮古島市はエネルギーの供給を市民生活や事業活動の重要な基盤と位置づけている。エネルギーの自給率を向上させることで外的要因に影響を受けにくい強固な社会システムを構築することで、社会全体のコストを増大させないことを前提とした。
エネルギー自給の現状を見ると、16年時点での自給率は約2・9%に過ぎなかったが、30年には22・1%、50年には48・9%に引き上げることを目指すという。
宮古島市は、地域のエネルギー自給率を向上させ経済的、環境的に持続可能な社会を構築することを目的としている。東京から約2000キロ、沖縄本島から約300キロ南西で、台湾との中間に位置する。総面積は204平方キロで、そのうち8割が宮古島が占める。人口は約5万人。
綺麗な海や独自の風土・文化が魅力的な観光地として人気なエリアだが、四方を海に囲まれた隆起珊瑚礁からなる平たんな島で、大きな河川などは無く、台風や干ばつを受けやすい厳しい自然環境にある。年間の平均気温は23・3度、年間降水量の平均は2000ミリ、湿度は年間平均79%という環境だ。
宮古島市は干ばつなどによる影響から豊富な地下水活用で“水無し農業”を脱却し、透水性の高い琉球石灰岩の地下に貯水ダムを建設し、水源開発を実施した経緯がある。同事業の期間は1987~2000年度で、総事業費は640億円だった。
その豊かな自然環境を維持しながら、経済の発展を目指すために大きな課題となっていたのがエネルギー政策だ。政策の背景として挙げられるのは、宮古島市が外部エネルギー依存から脱却し、自立したエネルギーシステムを確立する必要性があることだ。
外部からのエネルギー供給が不安定になるリスクを低減すると同時に、地域経済を活性化し雇用創出が求められ、政府や地方自治体も気候変動問題への対応を強化し、再生可能エネルギーの利用を促進する政策を推進している。
具体的なエネルギー自給の取り組みでは、省エネルギー対策と再生可能エネルギーの導入拡大を大きな柱とした。再生可能エネルギー事業には地域事業者が積極的に関与し、市民の省エネアクションの促進も重要だ。特に、急速にコストダウンが進んでいる太陽光発電の導入を大幅に拡大し、電力需給バランスを調整するために風力発電やバイオマス発電の導入も検討している。
エネルギー政策の基本的な考え方について、宮古島市はエネルギーの供給を市民生活や事業活動の重要な基盤と位置づけている。エネルギーの自給率を向上させることで外的要因に影響を受けにくい強固な社会システムを構築することで、社会全体のコストを増大させないことを前提とした。
エネルギー自給の現状を見ると、16年時点での自給率は約2・9%に過ぎなかったが、30年には22・1%、50年には48・9%に引き上げることを目指すという。
EV、エコハウスなど推進
具体的な取り組み事例では、1つ目に電気自動車(EV)の普及促進事業がある。運輸部門のCO2排出削減や高い自動車燃料コストの軽減、台風などの災害時による停電対策としてEVの活用を推進している。生活コストの低減、安心で豊かな生活の実現、ガソリン高騰の不安解消、QOLの向上(安全、安心)、低炭素社会の実現などにつながる。
2つ目はエコハウス普及啓発事業。沖縄の気候風土に適した伝統的な住まいづくりに、太陽熱や遮熱塗料などの環境技術を組み合わせた「蒸暑地域型エコハウス」の見学や体験宿泊を実施している。エネルギーを極力使わないで快適な生活を可能とする建築技術を普及することで、各住宅による省エネ化が進む。遮熱や通風、調湿に優れた設計が特徴だ。
3つ目は、天然ガスや付随水(温泉水)の利活用。宮古島の地下に存在する天然ガスや温泉水の成分分析、生産試験、環境影響調査を行い、利活用実施計画を策定している。資源開発によるエネルギーセキュリティの確保や産業振興、観光振興などの効果が期待されている。
4つ目は離島マイクログリッド実証事業。沖縄電力が太陽光発電と蓄電池を設置し、再生可能エネルギーの変動に対する安定化対策を行っている。島内外に独立型低炭素社会システムの技術発信を行い、エコツアーの実施による観光産業の活性化も図る。
5つ目は、エネルギーの面的なマネジメントシステムの構築。宮古島市全体での需要制御の効果を検証し、地下ダムのポンプや電気式給湯器、蓄電池などの需要設備の遠隔制御を実証するプロジェクトを実施。エネルギーの効率的な利用や新たなEMS利活用モデルの立案を進める。
このほか、エコアイランド宮古島の持続可能な島づくりでは、理想通貨制度とエコパスポート制作を実施している。この2つの取り組みは、地域経済の活性化と環境保護を両立させるための施策になる。
理想通貨制度は、市民がエコ活動に参加することで地域クーポン「理想通貨」を受け取ることができる仕組み。理想通貨は市内の協力店舗で利用できる。
協力店舗には、飲食店や雑貨店、マッサージ店などがある。具体的なエコ活動には、ビーチクリーンやボランティア清掃、エコ関連イベントへの参加、省エネ講習など。地域全体での環境保護意識の向上につながるという。
エコパスポートの制作は観光客にもエコアイランド宮古島の理念を共有し、観光マナーを守ることを促進するためのもの。パスポートは空港などで配布し、観光客がエコ活動に積極的に参加できるよう工夫。観光客と島民が一体となって自然環境を守る動きが加速すると見込んでいる。
2つ目はエコハウス普及啓発事業。沖縄の気候風土に適した伝統的な住まいづくりに、太陽熱や遮熱塗料などの環境技術を組み合わせた「蒸暑地域型エコハウス」の見学や体験宿泊を実施している。エネルギーを極力使わないで快適な生活を可能とする建築技術を普及することで、各住宅による省エネ化が進む。遮熱や通風、調湿に優れた設計が特徴だ。
3つ目は、天然ガスや付随水(温泉水)の利活用。宮古島の地下に存在する天然ガスや温泉水の成分分析、生産試験、環境影響調査を行い、利活用実施計画を策定している。資源開発によるエネルギーセキュリティの確保や産業振興、観光振興などの効果が期待されている。
4つ目は離島マイクログリッド実証事業。沖縄電力が太陽光発電と蓄電池を設置し、再生可能エネルギーの変動に対する安定化対策を行っている。島内外に独立型低炭素社会システムの技術発信を行い、エコツアーの実施による観光産業の活性化も図る。
5つ目は、エネルギーの面的なマネジメントシステムの構築。宮古島市全体での需要制御の効果を検証し、地下ダムのポンプや電気式給湯器、蓄電池などの需要設備の遠隔制御を実証するプロジェクトを実施。エネルギーの効率的な利用や新たなEMS利活用モデルの立案を進める。
このほか、エコアイランド宮古島の持続可能な島づくりでは、理想通貨制度とエコパスポート制作を実施している。この2つの取り組みは、地域経済の活性化と環境保護を両立させるための施策になる。
理想通貨制度は、市民がエコ活動に参加することで地域クーポン「理想通貨」を受け取ることができる仕組み。理想通貨は市内の協力店舗で利用できる。
協力店舗には、飲食店や雑貨店、マッサージ店などがある。具体的なエコ活動には、ビーチクリーンやボランティア清掃、エコ関連イベントへの参加、省エネ講習など。地域全体での環境保護意識の向上につながるという。
エコパスポートの制作は観光客にもエコアイランド宮古島の理念を共有し、観光マナーを守ることを促進するためのもの。パスポートは空港などで配布し、観光客がエコ活動に積極的に参加できるよう工夫。観光客と島民が一体となって自然環境を守る動きが加速すると見込んでいる。