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2024年度 宅地建物取引士資格試験【解答と解説】

2024年度 宅地建物取引士資格試験【解答と解説】

  • 2024.10.22
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本紙(【週刊住宅】10月21日号)掲載の解答解説の一部を公開しております。全文記事はこちら→https://www.sjt.co.jp/local/95553
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【問1】正解(1) 
 (1)正しい。一種又は数種の営業を許された未成年者は、その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有するが(民法6条1項)、その未成年者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効となる(民法3条の2)。
 (2)誤り。公の秩序に反する法律行為は無効である(民法90条)。
 (3)誤り。詐欺又は強迫による意思表示は、いずれも取り消すことによって初めから無効であったとみなされる(民法96条1項、民法121条)。
 (4)誤り。他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う(民法561条)。売買契約は債権契約であって、他人物売買も有効である。以上より、正解は(1)となる。

【問2】正解(4) 
 (1)正しい。最判昭和36・5・26民集15・5・1440。
 (2)正しい。民法644条の2の1項。
 (3)正しい。大審院判決は、幼児の中学卒業までの養育を委任した者が死亡した場合、その委任契約は委任者の死亡により当然には終了せず、受任者は、その後の養育費の償還を委任者の相続人に対して請求することができると判示した(大判昭和5・5・15新聞3127・13)。
 (4)誤り。委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる(民法643条)。当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方その仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる契約は請負契約である(民法632条)。以上より、正解は(4)となる。

【問3】正解(3) 
 (1)誤り。共有物に、その形状又は効用の著しい変更を伴う変更を加える場合には、全共有者の同意が必要となる(民法252条の2の1項)。よって、本件では、A、B、C、D全員の同意が必要となる。
 (2)誤り。無権限で登記簿上所有名義を有する者に対し共有者が抹消登記請求を求めることは「保存行為」(民法252項5項)に該当するため、本件では、A、B、C、Dがそれぞれ単独でできることになる(最判昭和31・5・10民集10・5・487、最判平成15・7・11民集57・7・787)。
 (3)正しい。共有者は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数の賛成があるときは、共有土地を資材置き場として期間を3年とする土地賃貸借契約を締結することができる(民法252条4項2号)。
 (4)誤り。本件のように不動産が数人の共有に属する場合において、共有者が他の共有者の所在を知ることができないときは、裁判所は、共有者の請求により、その共有者に、当該他の共有者の持分を取得させる旨の裁判をすることができる。これにより共有者が所在不明共有者の持分を取得した時は、所在不明共有者は、当該共有者に対し、当該共有者が取得した持分の時価相当額の支払いを請求することができる(民法262条の2の1項、同条4項)。しかるに、この所在不明共有者の権利が3年に限定されてはいない。以上より、正解は(3)となる。

【問4】正解(4)
 (1)誤り。債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したときは、債権者は、相当の期間を定めた催告をしなくても、直ちに契約の解除をすることができる(民法542条1項2号)。
 (2)誤り。契約の解除権は、一審専属権ではなく相続される。
 (3)誤り。本件においてCはAの相続人であり、Bの甲土地の権利取得後に甲土地につき権利を取得した第三者(民法177条)に該当しない。
 (4)正しい。本件においてCはAの相続人であるから、BはCに対して、本契約を詐欺に基づき取り消すことができる(民法96条1項)。以上より、正解は(4)となる。

【問5】正解(2) 
 (1)誤り。不法行為に基づく損害賠償債務は、催告を要することなく、損害の発生と同時に遅滞に陥る(最判昭和37・9・4民集16・9・1834)。
 (2)正しい。善意の不当利得者の利得返還義務は、期限の定めのないものとして、損失者から履行の請求を受けた時から遅滞となる(大判昭和2・12・26新聞2806・15)。
 (3)誤り。注文者は、請負人に対する相殺後の報酬残債務について、相殺の意思表示をした日の翌日から、履行遅滞による責任を負う(最判平成9・7・15民集51・6・2581)。
 (4)誤り。債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う(民法412条2項)。
以上より、正解は(2)となる。

【問6】正解(4) 
 債権及び債務が同一人に帰属したときは、その債権は、消滅する。ただし、その債権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない(民法520条)。アないしエのいずれについても、本件地上権は、抵当権者Cの抵当権の目的であるから、消滅しない。以上より、正しいものはないため、正解は(4)となる。

【問7】正解(1) 
 (1)正しい。「占有者がその占有を奪われたとき」(民法200条1項)とは、占有者がその意思によらずして物の所持を失った場合を指し、占有者が他人に任意に物を移転したときは、移転の意思が他人の欺罔によって生じた場合であってもこれに当たらない(大判大正11・11・27民集1・692)。
 (2)誤り。「占有者がその占有を奪われたとき」(民法200条1項)とは、占有者がその意思によらずして物の所持を失った場合を指し、AがBに任意に甲建物を引き渡している以上、AはBに対して占有回収の訴えを提起することはできない。
 (3)誤り。相続人は、被相続人の占有を当然に承継する(民法187条1項)。
 (4)誤り。賃貸借契約は、賃貸人または賃借人の死亡によっては終了せず、相続の対象となる。以上より、正解は(1)となる。

【問15】正解(4)
 (1)正しい。都市施設は、特に必要があるときは、都市計画区域外においても定めることができる。
 (2)正しい。準都市計画区域については、都市計画に、市街地開発事業を定めることができない。
 (3)正しい。準都市計画区域は、道路の沿道としての地域の特性にふさわしい業務の利便の増進を図りつつ、これと調和した住居の環境を保護するために定める地域である。
 (4)誤り。都市計画区域については、用途地域が定められていない土地の区域であっても、一定の場合には、都市計画に、地区計画を定めることができる。

【問16】 正解(1)
 (1)正しい。市街化区域内の場合、1000㎡未満の開発行為は許可不要だが、本問の開発行為の規模は1000㎡。また、病院は開発許可制度における公益上必要な建築物にあたらない。
 (2)誤り。開発行為を伴わない建築物の建築で、知事の許可が問題になるのは、市街化調整区域内。
 (3)誤り。都市計画事業の施行のための開発行為については、場所や規模に関係なく、開発許可は不要である。
 (4)誤り。一定事項を開発登録簿に登録しなければならないのは、知事である(都市計画法47条1項)。

【問17】 正解(2)
 (1)正しい。高さ20㍍を超える建築物には、周囲の状況によって安全上支障がない場合を除き、有効に避雷設備を設けなければならない。
 (2)誤り。特定行政庁は、緊急の必要がある場合においては、通知書の交付等の手続によらないで、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる(建築基準法9条7項)。
 (3)正しい。防火地域内において建築物を増築する場合には、その増築に係る部分の床面積にかかわらず、建築確認は不要である。
 (4)正しい。建築物の用途を変更して規模の大きい(その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超える)特殊建築物とする場合には、原則として、建築確認が必要であるが、類似の用途相互間における用途変更(劇場から映画館)では、例外的に、建築確認は不要である。

【問23】 正解(2)
 (1)誤り。入居年、その前年、前々年に、居住用財産の軽減税率の適用を受けていないことが、住宅ローン控除の適用要件である。
 (2)正しい。譲渡損失の損益通算と住宅ローン控除は、重複して適用を受けることができる。
 (3)誤り。令和5年中に居住用家屋を新築していないので、令和5年分の所得税について住宅ローン控除の適用を受けることはできない。
 (4)誤り。償還期間が10年以上の住宅借入金等があることが、住宅ローン控除の適用要件である。
【問26】正解 (3)
 アは正しい。飲料水・電気・ガス等の供給設備の整備状況について説明義務がある。
 イは誤り。重要事項説明書面に記名する宅地建物取引士は一般の宅地建物取引士でもよい。
 ウは正しい。記述のとおり。
 エは正しい。記述のとおり。
 以上から、正しいものはア、ウ、エの3つであり、3が正解である。

【問27】正解 (4)
 (1)誤り。 営業保証金を金銭のみで供託していた場合には、保管替えの請求を行うことになる。
 (2)誤り。営業保証金の還付の対象となる債権は、宅建業に関する取引により生じた債権であり、交通事故による損害賠償請求権は含まれない。
 (3)誤り。営業保証金を有価証券のみで供託する場合の有価証券の価額は、国債は額面の100%、地方債は額面の90%である。
 (エ)正しい。記述のとおり。

【問28】正解 (2)
 アは違反する。居住用建物の賃貸の場合、宅建業者が受領できる報酬の上限は、代理・媒介に関わらず1カ月分の賃料額となり、一方の依頼者の上限はその2分の1である。本問は上限を超えている。
 イは違反しない。事業用建物については、賃料の1カ月分に加えて、権利金を売買代金とみなして限度額を算定することができる。本問は上限を超えていない。
 ウは違反しない。400万円を超える物件について売買の媒介の報酬額の上限は、物件価格×3%+6万円となり、売主・買主双方から110万円を報酬として受領することは上限を超えていない。また、特別の依頼による調査費用実費を受領することも認められている。
 以上から正しいものはイ、ウであり、2が正解である。

【問29】正解 (4)
 (1)誤り。実務経験が2年未満であっても、国土交通大臣の登録を受けた講習機関の登録講習を受講することにより登録を受けることができる。
 (2)誤り。宅地建物取引士証が失効した場合には、当該宅地建物取引士証を交付を受けた都道府県知事に返納しなければならない。
 (3)誤り。他人に事故の名義の使用を許すことは法68条の規定により処分の対象となり、これは、使用を許した他人が宅地建物取引士の登録を受けたものであっても同様である。
 (4)正しい。記述のとおり。

【問30】正解 (4)
 (1)正しい。記述のとおり。 
 (2)正しい。記述のとおり。
 (3)正しい。記述のとおり、
 (4)誤り。買主がその自宅または勤務する場所において説明を受ける申出を行った場合でその場所で申込み及び売買契約を締結した場合には、クーリングオフによる解除ができないが、融資を受ける銀行での申込み及び売買契約を行った場合にはクーリングオフによる解除を行うことができる。

【問31】正解 (1)
 (1)正しい。記述のとおり。
 (2)誤り。宅建業者の事務所の所在地を確知できないときは、免許権者がその事実を公告し、その公告の日から30日を経過しても宅建業者から申出がないときは、免許を取り消すことができる。
 (3)誤り。都道府県知事が宅建業者に対し監督処分(指示処分、業務停止処分、免許取消し処分)をしようとするときは、原則として、公開による聴聞を行うことが必要となる。
 (4)誤り。免許取消し処分だけでなく業務停止処分であっても公告が必要である。

【問32】正解 (3)
 (1)誤り。専任媒介契約又は専属専任媒介契約によりで媒介契約の依頼を受けた場合には、指定流通機構に物件情報を登録する義務を負い、当該物件の売買契約が成立したら成約情報を遅滞なく通知する必要がある。
 (2)誤り。法34条の2第1項により媒介契約に記載すべき事項には、国土交通大臣が定める標準媒介契約約款に基づくものであるか否かの別を記載する必要はない。
 (3)正しい。記述のとおり。
 (4)誤り。法34条の2第1項第4号により、建物状況調査を実施する者のあっせんを希望しなかった場合でも、当該あっせんに関する事項を記載する必要がある。

【問49】正解(2)
 (1) 適当である。記述のとおりである。
 (2)不適当である。擁壁の水抜き穴については、壁面の面積3㎡以内ごとに設けるよう規定されている(宅地造成及び特定盛土等規制法施行令12条)が、高さ2m以下の擁壁でも地下水等の流路にあたっている壁面がある場合においては、その部分に水抜き穴を設けて地下水等を排出しなければならない。
 (3)適当である。記述のとおりである。
 (4)適当である。記述のとおりである。

【問50】正解(3)
 (1)適当である。記述のとおりである。
 (2)適当である。記述のとおりである。
 (3)不適当である。ブレースは水平荷重に耐えるので、柱や梁などの主要部材で使われることが多く、ラーメン構造と併用することはないが、鉄骨造の建物で採用されている構造である。
(4)適当である。記述のとおりである。
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