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既存住宅市場活性化へ/品質確保、評価制度など議論/国土交通省

既存住宅市場活性化へ/品質確保、評価制度など議論/国土交通省

  • 2025.04.23
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 国土交通省は4月11日、第4回「既存住宅市場の整備・活性化懇談会」を開いた。少子高齢化や働き方の多様化、社会構造の変化、原材料費の高騰などの経済環境を踏まえ、新築だけではなく既存住宅も選択肢に含めた住環境の整備が急務。今回の会合では、既存住宅流通を活性化するための具体策や、住宅の品質を評価する制度面の改善ポイントなどを議論した。

「売買の安心度」向上も
 会議には、有識者や不動産業界、建築士会、金融機関関係者、法律専門家らが委員やオブザーバーとして参加。テーマの1つとなったのは、既存住宅を売買する際の安心度をいかに高めるかという点。耐震性能や省エネ性能など、買い手側が特に気にする物件品質をどのように査定・開示するのか、適正な情報のやり取りを保証する検査・保険制度の充実が重要との認識が示された。
 耐震や断熱性能の確認・向上策は、今後のカーボンニュートラル社会の実現にも関わるため「既存住宅流通促進の鍵を握る要素」という声が多く挙がったという。また、売却・購入の段階で活用しにくい補助金や税制優遇制度についても、わかりやすさを高める工夫を求める意見が委員から相次いだ。国と自治体、そして事業者が連携しながら支援策を整理し、購入前後で柔軟に使える仕組みを検討すべきだと強調された。
 既存住宅の売買を実行に移す際のステップが複雑である点も取り上げられた。物件選びや価格査定、リフォーム計画に至るまで、買い手が抱える不安を軽減するためにインスペクション(住宅検査)や瑕疵保険加入を当たり前にするにはどうすれば良いのか、売主・買主・仲介業者の三者間で情報共有を行う「住宅履歴」整備の重要性などが議論された。
 会合で浮上した多様な意見を踏まえ、国土交通省は「既存住宅の市場活性化」をより具体的なアクションとして示す予定だ。今後の懇談会で更なる詳細検討が進められ、住宅取得希望者が中古住宅を前向きに検討しやすい環境づくりへの道筋が示されるかに、引き続き関心が寄せられている。

「リフォーム価格+/査定価格」を推進/「スムストック」の事例
 優良ストック住宅推進協議会が運営する「スムストック」の取り組みでは「住宅履歴データベース保有」「新耐震基準レベルの耐震性を保持」「50年以上のメンテナンスプログラムの保有」の「3原則」と「3手法」を柱に、質の高い既存住宅の維持と流通を促進している。
 23年度のスムストック成約件数は2090件、成約累計では1万9727件。スムストック専用瑕疵保険の加入件数は1278件(付保率61%)とし、消費者の安心感を高めている。同協議会に加盟する企業による戸建てストック数が401万棟に達し、年に約1万1100棟の流通が見込まれている。この流通率は約0・3%と限られているものの、住宅の質と安全を重視する点からニーズが高まっている。
 06年に施行された住生活基本法によって、住宅政策は新築住宅から既存住宅の流通とリフォームに重点を置く方向に転換した。この背景には、新築住宅着工数の減少があり既存住宅市場が主要なビジネス軸になることが不可避とした。
 課題の1つは、既存住宅の適正な価値評価の普及。建物の価値を適切に評価するシステムを導入し、不動産事業者が利用しやすい査定方法を提供することで、不安感を払しょくすることが可能となる。また融資を「リフォーム価格と査定価格」を含めて行うことで、流通の促進につながる。
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