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物納許可限度額を見直し/25年度から計算基礎変更/相続税

  • 2025.04.23
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 25年度の税制改正によって、相続税による物納制度の物納許可限度額が見直される。今回の改正では、高齢化の進展に伴う「老老相続」や相続財産の構成変化、資産承継の多様化など、相続税を取り巻く経済社会の構造変化を踏まえたもの。
 大きな変更点は、物納許可限度額の計算基礎となる部分について、従来の固定年数による算定から、申請者の平均余命年数を上限とする方式へと見直しが行われる点。物納可能額が申請者の年齢によって変動したり、延納期間が柔軟に設定可能となったりといった変化が生じると予測され、審査基準についても個別化が進むとみられる。
 相続税は金銭による一括納付が原則だが、現実的にこれが困難な場合も多いため、延納や物納の特例が認められている。延納は金銭一括納付が困難なケースに限り、分割納付を認めるもので、原則5年以内だが、相続財産の半分以上が不動産であった場合では最長20年まで可能。物納はこの延納でも困難な場合に、税務署長の許可を得て、相続財産そのものでも納付を可能としている。物納が認められる財産は相続によって取得したものに限られ、その順位も決められている。
 まず第1順位は国債・地方債、不動産、船舶、上場株式や社債等の受益証券、これらのうちの物納劣後財産に該当するもの。第2順位は非上場株式など第1順位のものを除く受益証券、そのうちの物納劣後財産に該当するもの。そして第3順位が動産。
 物納許可限度額は、納付すべき相続税額から現金納付が可能な金額と延納での納付が可能な金額を差し引いた額で、改正後は従来の固定年数から、その年数と申請者の平均余命年数のいずれか短い方の年数が上限となる方式に変更される。
 従って現在、相続財産に占める不動産の割合に応じて定められている最長の延納期間が申請者の年齢によって変わる可能性が出てくる。5~20年という固定年数から、申請者の平均余命年数となるケースが生じ、その場合では物納許可限度額が増えることとなる。
 ただ、この平均余命についてどのデータを採用するかは明らかとなっていない。また現時点で物納を申請するには「相続税物納申請書」「物納財産目録」「物納手続関係書類」など、資料を申告期限までに税務署へ提出する必要がある。物納の場合、相続財産を売却せずに納税できるため、金銭支出を抑えられるのが物納の大きな利点。また、物納許可限度額までは譲渡所得税が非課税になることもメリットとなる。
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