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23区大規模ビル供給量/今後5年間で年平均85万㎡に/明大名誉教授  市川 宏雄氏に聞く

23区大規模ビル供給量/今後5年間で年平均85万㎡に/明大名誉教授  市川 宏雄氏に聞く

  • 2025.03.31
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 明治大学名誉教授でボルテックスのシンクタンク(100年企業戦略研究所)アドバイザーを務める市川宏雄氏によると「オフィスの年間供給量は、2024年からの5年間で(前の10年間の)約2割減のペースで進む」「日本橋、八重洲、京橋エリアは供給が多く、赤坂、六本木エリア、品川エリアは今までの供給が少なかった反動で供給が増える」という。都心のオフィス状況と動向について市川宏雄氏が解説した。

 まず、オフィスの立地量(ストック)について過去から現在までの推移は、90年代から都心5区のオフィス供給は周期的な増減を繰り返しつつも、総体としては漸増を続けてきた。バブル経済崩壊後の02年(2963万9359㎡)には90年(2042万716㎡)に比べて1・45倍に拡張し、その後も緩やかな増加が続いたが、24年12月には4674万6579㎡と、ピークからの34年間で2・27倍の伸びとなった。賃貸に充てられる比率は下がり続け、90年12月に0・67、02年1月に0・72と上向き、床面積の7割以上が賃貸に充てられていた。10年12月に0・6、24年12月には0・57に下落。過去20年で6割を切るまでに至っている。
 最近の動向では20年~24年12月までの5年間で都心5区のオフィス供給量は302万1140㎡に達している。特に港区は171万2756㎡で、都心5区の56・7%を占めている。2位千代田区(3万4927㎡)との差は2・7倍。23年3月までのトップは千代田区だったが、港区の活発なビル供給によって主役が入れ替わった。続く3位の渋谷区は36万231㎡で、港区の約5分の1、千代田区の約2分の1の規模。
 空室率について、コロナ禍前の20年1月にはオフィスの空室率が都心5区だけでなく23区全体でも1・53%と低い水準だったが、22年~23年に空室率が大幅に上昇した半面、10%を超えることはなかった。具体的には千代田区が22年6月に5・07%、中央区は22年12月に8・11%、港区が23年8月に9・6%、新宿区は21年11月に6・79%、渋谷区は21年7月に6・68%だった。
 その後、状況が改善し始めてはいるものの24年12月には空室率が最も低い千代田区でも2・25%、港区や中央区では依然として5%を超えている。コロナ後の各区賃料は渋谷区がいち早く上昇し、そのほかの区は24年に入ってから上昇傾向にあるが、24年末時点ではコロナ禍前の8割までの回復だ。
 23区の大規模オフィスビル(床面積1万㎡以上)の供給量は、今後5年間(24~28年)で年平均82万㎡になるという。この供給量は過去37年間の年平均103万㎡を下回り、全体的に抑制傾向にある。
 都心5区のうち7つのエリア(日本橋・八重洲・京橋エリア、丸の内・大手町・有楽町エリア、赤坂・六本木エリア、品川エリア、田町・浜松町エリア、虎ノ門エリア、渋谷エリア)は、23区全体の供給量(5年間)が408万㎡。そのうち主要7エリアは(293万㎡)を占め、最も供給量が多いエリアは「日本橋、八重洲、京橋エリア」で17%(71万㎡)。
 各エリアを19~23年と24~28年で供給量の比較すると「日本橋・八重洲・京橋エリア」が47万㎡から71万㎡、「赤坂・六本木エリア」が1万㎡から46万㎡、「品川エリア」が4万㎡から40万㎡に増加が見込まれている。
 なお中規模オフィス(5000㎡~1万㎡未満)は、23年から過去10年間の平均供給量が約10万㎡弱で、大規模オフィスとの比較では5~10%を推移している。都心3区の供給割合が8割超を占める。
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