空き地対策で初の指針／適正管理と利活用で支援も／国交省

　国土交通省は４月１日、空き地の適正管理と利活用の指針となる初のガイドラインを発表した。これは、空き地の増加が今後も見込まれる中で、その管理や利用を促進し地域社会が抱える課題の解決を目指す。ガイドラインでは、まず統計調査や地方公共団体のアンケート調査をもとに、空き地増加の現状、要因、周辺地域への悪影響を整理している。この背景には人口減少や高齢化、都市部への人口集中があるとされ、不法投棄や治安悪化の原因にもなっていることがわかった。
　空き地対策として、地方公共団体や地域団体が専門家や地域と連携し、農園や菜園、緑地や広場への転換を図る取り組みが紹介されている。地域住民の参加や協力が求められ、地域社会が主体となることで持続可能性を高めることが期待されている。
　地域で制定された空き地に関する条例についても整理し、管理不全の空き地に対する是正措置を含め、改善のための具体的な方策を示している。行政の効率的な取り組みと法的手続きのポイントを解説した。
　制度的支援として、ガイドラインは国や地方自治体が提供する支援制度や法律を詳述し、空き地対策に関心を持つ個人や団体が活用できる情報を提供することで、貸し出しや売却、地域コミュニティの再生など多岐にわたる空き地活用の選択肢が広がる。
　具体的な事例として鳥取県米子市では、空き家と空き地対策を一体化させる取り組みを進めている。空き家と空き地の管理事業者を登録・紹介する制度を導入し、所有者の負担を軽減するとともに、管理システムを構築することによって、位置情報と連動した効率的なデータベース管理を目指している。所有者が自身の不動産の状態をより簡単に把握し、適切な管理を行うことにつなげていく。
　また、徳島県那賀町では、急速な過疎化と高齢化に伴う空き地・空き家問題に対処するため、司法書士や行政書士、土地家屋調査士、宅地建物取引士の「４士業連携那賀町空き家空き地対策チーム」を結成し、住民に向けた啓発活動を展開。相続による空き家・空き地の増加を防ぐための取り組みとして、セミナーや相談会を実施し、意識向上と実務面のサポートを行っている。
　一方で、神戸市では「空き家・空き地地域利用バンク」を設置。空き家や空き地を地域活動に活用したい団体と利用希望がある所有者のニーズをマッチングするとともに、整備費や仲介手数料、登記費用、固定資産税相当額の補助も行う。